賢者名鑑 / 中国
老子
ろうし
紀元前6世紀ごろ — 没年不詳|中国
上善は水の如し ── 力を抜くことの強さ

どんな人か
「道家(どうか)」の祖とされる思想家です。のちの荘子とあわせて「老荘思想」と呼ばれ、中国思想の一大潮流を生みました。
儒家が「こうあるべき」という規範や努力を重んじたのに対し、老子が説いたのは自然の流れに従う「無為自然」。頑張りすぎる人の肩の力を、二千五百年越しに抜いてくれる思想です。
基本データ
- 生まれ
- 紀元前6世紀ごろ出典3中国・春秋時代とされる。実在や年代には諸説あり、複数の人物や思想がまとめられたものとする見方もある
- 没
- 没年不詳出典3没年を伝える確かな記録が残っていない
- 生まれた地
- 中国出典3
- 氏名
- 老子(ろうし)。姓は李、名は耳(じ)と伝えられる出典3
- 分野
- 思想家(道家の祖)出典3
- 主著
- 『老子』(『老子道徳経』とも。全81章、約5000字)出典3伝説では、周王朝の記録官を務めたのち世の乱れを見て旅立ち、国境で請われて残したのが『老子』だと伝えられる
- 説いたこと
- 自然の流れに従う「無為自然」出典3「道(タオ)」という根源的な原理を軸とし、力による支配ではなく、しなやかさ・謙虚さ・自然との調和を重んじた
- 遺した言葉の広がり
- 「上善は水の如し」「足るを知る者は富む」「大器晩成」など、現代でも広く使われる言葉の源出典3「柔よく剛を制す」(出典は兵法書『三略』)も、老子の「柔弱は剛強に勝つ」の思想と深く響き合う
- 後世への影響
- 道教の始祖として神格化され、禅や日本文化にも大きな影響を与えた出典3
上善は水の如し
「上善は水の如し」——最上の善は、水のようなものだ。老子はそう言いました。
水は形を持ちません。器に合わせて姿を変え、低いところへ流れていく。争わず、目立たず、それでいて岩をも削ります。
これは「力を抜け」という話ではありません。「柔弱は剛強に勝つ」——柔らかいものが、硬いものに勝つ。しなやかであることが、強さそのものだという話です。
だから彼は「足るを知る者は富む」とも言いました。もっと、もっと、と追い続ける人は、いつまでも足りない。いま足りていると気づいた人が、実は豊かなのだと。
頑張っているのに空回りするとき。力が入りすぎているのかもしれません。二千五百年前の言葉が、いまも読まれ続けているのは、人がいつの時代も同じところで力んでしまうからなのでしょう。
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出典
数字や表記は、記事本体に合わせています。出どころで食い違うものは、両方を併記しました。
