スティーブ・ジョブズ――肩書きを手放しても、好きな仕事は残る
役割が変わると、自分まで空っぽになったように感じることがあります。スティーブ・ジョブズが語った再出発から、次の季節へ持っていきたいものを考えます。
CHAPTER
自らの道を切り拓く・仕事・経済・人間力
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役割が変わると、自分まで空っぽになったように感じることがあります。スティーブ・ジョブズが語った再出発から、次の季節へ持っていきたいものを考えます。
衣替えは、今の暮らしに合う形を選び直す機会。動きやすい服を広めたシャネルの歩みから、商品や仕事を使う人の側で考えます。機能を増やす前に、不便を1つ減らす。家庭や職場で試せる4つの具体例を添え、価値のつくり方を見直します。
敬老の日に、教えてもらったことの行き先を考えてみませんか。空海が取り組んだ学びの場づくりから、感謝を次につなぐ方法をたどります。
日本で最も多くの安打を打った張本勲さん。4歳の火傷で右手の指を、5歳の被爆で姉を失いながら、3085本を打った人の歩みを振り返ります。
努力には、目の前で力を尽くす直接の努力と、その土台をつくる間接の努力がある。幸田露伴が『努力論』に書いた「準備の努力」をたどります。
限られたものを、みんなで長く使うには何が必要か。共同で資源を守る人びとを現場で調べ、女性として初めてノーベル経済学賞を受けたエリノア・オストロムの歩みをたどります。
俳句や短歌を革新した正岡子規は、病床からも文章を発表しました。その書き出しから、「つらい」の中身を伝える言葉について考えます。
物価のニュースを、暮らしの言葉に置き換える。その手がかりを、高橋是清の説明のしかたから探ります。
鉄道、サッカー、農業、真珠、堤防。やっていることはばらばらの5人を並べたら、共通点が二つ出てきました。全員、始めた時点では無名だったこと。そして全員、最初は笑われていること。彼らが持っていたのは権限でも資金でもなく、問題の立て方でした。
うどん屋の長男が、まん丸の真珠を人の手で作ると言い出しました。周囲からは「気が触れた」と言われ、赤潮で貝は全滅し、借金だけが膨らみます。それでも彼は、全滅した貝を開け続けました。最初の実験から成功まで17年。諦めない期間の長さの話です。
生前に出版された本は2冊だけ。どちらも自費出版で、ほとんど売れませんでした。自分が始めた活動も、病に倒れて2年で終わっています。それでも彼が耕そうとした風景は残りました。「言っていることと、やっていることが違う」——そう言って教師を辞めた人の話です。
戦後の経営者、高校野球の監督、江戸初期の学者、昭和の財界人、江戸の大名。時代も立場も違う5人が、全員同じ順番で動いていました。守る、線を引く、自分を正す、自分が削る、定義を残す——全部、命じる前に済ませています。「言わなくても動くチーム」の正体は、言う前にこちら側で終わらせてあることの多さでした。
「社員には3倍、役員には10倍、私はそれ以上に働く」。69歳で東芝の再建を託された男が、就任の日に言った言葉です。財界のトップにいながら、家での食事はめざしと味噌汁。84歳で行政改革を無報酬で引き受けた人が示したのは、働く量ではなく、順序でした。
50年先を選ぶには、若さがいるのではないか。41年かけるには、時間が要るのではないか。「もう遅い人はどうするのか」という問いに、真正面から答えを出した人がいます。最初の測量に出たのは55歳。その前に、19歳年下の天文学者へ弟子入りしていました。そこから17年、歩いた距離はおよそ4万キロ——地球一周ぶん。「もう遅い」は、たいてい事実ではなく気分です。
経営者、野球選手、江戸の国学者、江戸の思想家、明治の国際人。今週の5人は時代も国も職業もばらばらです。ところが並べてみると、全員が同じことをしていました。今すぐ手に入る得を、手放している。そして手放した代わりに、50年、8000回、41年という長い時間を手に入れています。急ぐと、短いものしか手に入らない——今週見えてきた、一本の線の話です。
江戸中期まで、商売に「道」はありませんでした。士農工商の最下層、金を扱う者は卑しい——それが常識だったのです。その常識を、20年以上を現場で勤め上げた一人の番頭がひっくり返しました。「まことの商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」。近江商人の三方よしも、渋沢栄一の道徳経済合一も、この一言の延長線上にあります。
2026年上半期の経常黒字は17兆4292億円で上半期として過去最大。それでも「デジタル赤字」は年6兆円を超え、払う額は稼ぐ額の約2.5倍になっています。日本は貧しくなったのではなく、稼ぎ方の土俵が変わった――。1955年、まだ無名だったソニーは10万台の大商談を断りました。条件が「ブランド名は相手のもの」だったからです。今日の売上か、50年後の名前か。盛田昭夫が選んだものの話です。
13歳から28〜29歳まで六十余度の勝負に一度も負けなかった男が、三十を過ぎて「あれは兵法を極めて勝ったのではなかった」と自分の勝ちを疑いました。晩年、彼が最も時間をかけたのは戦うことではなく、言葉にすること。『五輪書』に残る「常の身を兵法の身とし」という一行は、本番だけ整えようとする私たちへの、四百年前からの答えです。
今週ご紹介した5人を並べてみて、気づいたことがあります。この5人、誰一人「頑張れ」と言っていません。雲門文偃、フェデラー、ヘレン・ケラー、大野耐一、賀川豊彦。分野はまるでバラバラなのに、全員が同じことをしていました。意志や根性のせいにせず、方法のほうを変えたのです。そしてそれは、人を責めない発想でもありました。
同じミスが、また起きた。前にも対策したはずなのに。つい「なぜ学習しないんだろう」と思ってしまいますが、繰り返される原因は人ではなく、対策の浅さにあるのかもしれません。トヨタ生産方式を作り上げた大野耐一が徹底したのは「なぜ」を五回繰り返すこと。そして報告書ではなく、自分の目で現場を見ることでした。
うまく、言葉にできない。胸にもやもやがあるのに、それが何なのか説明できない。生後19か月で視力と聴力を失ったヘレン・ケラーは「そこには言葉がなく、意味がなかった」と書きました。1887年4月5日、ポンプ小屋で手のひらに綴られた「w-a-t-e-r」。その日30語、3週間で100語を超えた少女の物語から、言葉にすることの意味を考えます。
始めたことの成果が、なかなか見えない――そんなときに。バフェット、ファーガソン、最澄、大原孫三郎、ユヌス。時代も国も職業も違う5人には、二つの共通点がありました。誰一人すぐの結果を求めなかったこと。そして全員が、自分がいなくなった後も機能する「仕組み」を遺したこと。
過去の失敗が頭から離れない――そんな人へ。遊びと賭博でいまの価値にして数億円の借金を作り、大学を中退した青年が、26歳で社長になった。その理由は、会社の寄宿舎で社員が亡くなり、父が責任を取って辞めたからだった。だから彼は、工場に病院と学校を作った。100年後も残るものを遺した男の話。
上がったと聞けば焦り、下がったと聞けば不安になる。数字を追いかけて心がすり減る――これは株の話だけではない。「市場は、忍耐強くない人から忍耐強い人へお金を移す装置である」。バフェットの最大の武器は、頭脳ではなく時間だった。
「あの人は環境に恵まれていたから」――でも、歴史に名を刻んだ5人を並べると逆の事実が見えてくる。松下・嘉納・フランクリン・豊田・ジェイコブズ。全員が「持たざる者」から始まり、全員が地味な積み重ねだけで成し遂げていた。
やる前から「無理だ」と結論を出してしまう――。技術も部品産業もない1930年代に「日本人の頭と腕で自動車をつくる」と宣言した豊田喜一郎。ネジ一本まで分解し、資金の無さからジャスト・イン・タイムを生んだ。「できないという前に、まずやってみろ」。
「今年こそは」と決めた習慣が、また続かなかった――続かない原因は意志ではなく、やり方かもしれない。300年前、フランクリンは13の徳目を手帳に記し、一週間に一つだけに集中した。完璧でなくていい。目指すだけで価値がある。
いざというとき、慌ててしまう。余裕は、必要になってからでは作れない――松下幸之助の「ダム経営」。好況のときに蓄え、不況のときに使う。そして「まず、作ろうと思う」。若き稲盛和夫が雷に打たれた逸話とともに。
「大切なのは分かっている。でも、できていない」。ドラッカー・孫子・渡辺和子・本田宗一郎・近江商人――5人の賢者は同じ答えにたどり着いていた。動いて初めて、学びは力になる(知行合一)。
「失敗が怖くて動けない」あなたへ。本田宗一郎いわく、成功とは99%の失敗に支えられた1%。倒れるたびに起き上がった経営者に、挑戦する勇気を学びます。
望まない場所に置かれたとき、どう生きるか。「置かれた場所で咲きなさい」は我慢の勧めではありません。咲けない日は、根を下へ。渡辺和子さんの生涯と言葉に学びます。
「変えるべきと分かっているのに、変えられない」。ドラッカーの答えは「体系的廃棄」=始める前に、まず捨てる。たった一つの問いで惰性をあぶり出す、捨てる勇気の話。
渋沢栄一・吉田松陰・西郷隆盛・稲盛和夫・范仲淹――時代も国も違う5人が、なぜ歴史に残り愛され続けるのか。5人に共通する、たった一つの生き方とは。
迷ったとき何を基準に決めていますか。京セラ・KDDIを創業しJALを再建した稲盛和夫の「動機善なりや、私心なかりしか」に学ぶ、損得ではなく動機で決める判断の羅針盤。
人の目が気になって疲れていませんか。明治維新の功労者でありながら敗者として死んだ西郷隆盛。その「敬天愛人」=人の評価でなく天に恥じない生き方に学ぶ、揺るがない心の作り方。
「型にはまりたくない」その自己流、実は遠回りかも。千利休に由来する「守破離」に学ぶ、基本を極めて自分だけの道を作る三段階。型破りと型なしの決定的な違いとは。
2026年の路線価は5年連続上昇。でも土地の値段が上がると人は幸せになるのか。500社を興しながら財閥を作らなかった渋沢栄一の「論語と算盤」に学ぶ、数字の先にいる人を忘れないお金との向き合い方。
本を読んでも人生が変わらないのはなぜか。NBAの名将・神学者・掃除の経営者・古代の哲学者――4人の天才が同じ答えにたどり着いていた。学びを力に変える、たった1つの方法。
悩みの多くは「変えられないこと」で占められています。変えられないものを受け入れる落ち着き、変えられるものを変える勇気、その二つを見分ける賢さ――世界中で愛される「ニーバーの祈り」に、心の平穏の知恵を学びます。
「井の中の蛙、大海を知らず」――実は美しい続きがあります。深さと広さ、両方を持つには? 一冊も本を書かず「西洋哲学の父」と呼ばれたソクラテスの「無知の知」から、視野を広げる第一歩を考えます。
序ノ口まで番付を落とした力士・炎鵬。落ちても、壊れても、また土俵に上がり続けるその歩みから、「自らの道を究める」とは何かを見つめる。
現場で人と働き、コートで選手と育ち、地域で輪を編む。「人と共に育つ」という一本の道を、日本の文化と共に言葉にしていくーー和育の最初のご挨拶です。